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~5分で分かる法律豆知識~ 【法律上の充当制度とは?第3回】

前回は中日法律上の「充当制度」の相違点について説明したが、今回はその続きで、1つの例を通して「充当制度」の適用について説明する。

 

?  【事例】:

A社は、B社に対して2013年12月31日を支払期日とする貸付金100万元(利息10万元)と、販売代金200万元の金銭債権を有していた。ところが、2013年12月31日末にB社から支払われた金額は100万元であり、金銭債権の全額を弁済するには足りないものだった。

 

?  【質問】:

B社が返済した100万元は、どちらの金銭債権に対する支払として取り扱えばよいか。

 

?  【事例分析】:

本件では、B社からA社への100万元の支払いがA社のB社に対する金銭債権の全額に足りないので、弁済の充当の問題が生じる。

 

中日両国法律上の「充当制度」の差異により、案例の処理方法は以下のとおりに考えられる。

 

(1)  中国法

B社が給付する前またはその際に、A社と弁済順序について合意に達した場合、双方の約定に従うものとする。例えば、両社は、100万が販売代金200万元に対する返済と合意できた場合、販売代金200万元のうち、100万元が充当され、A社は、B社に対して、残り貸付金100万元(利息10万元)及び販売代金100万元の金銭債権を有している。

 

A社とB社は、弁済順序について合意ができない場合、法定充当が適用される。「契約法」適用の若干問題に関する解釈(二)(法釈〈2009〉5号)第20条、第21条に基づき、2個の債務は両方とも2013年12月31日を以って期限が到来し、且つ、いずれも担保がつかない債務なので、負担の重い債務を優先的に充当されるべきである。貸付金100万元は利息付なので、販売代金200万より負担が重く、優先的に充当される。従って、費用→利息→元本という債務弁済の法定優先順位に従って、貸付金利息の10万元と貸付金100万元のうち、90万元が充当され、A社は、B社に対して、残り貸付金10万元及び販売代金200万元の金銭債権を有している。

 

しかし、仮に貸付金の100万元について担保が付いていれば、話が違ってくる。前回説明したように、「契約法」適用の若干問題に関する解釈(二)(法釈〈2009〉5号)第20条では、「数個の債務の期限がいずれも到来している場合、債権者に担保がなく、又は担保額が最も少ない債務を充当する。」というふうな定めがある。この場合、法定充当だと、担保が付いていない債務、即ち、販売代金の200万元が先に充当され、残りの債務は、担保付の貸付金100万元(利息10万元)と、販売代金100万元となる。

 

(2)  日本法:

まず、A社とB社との間で充当に関して契約がなされていれば、その契約に従って充当される。

A社とB社との間に充当に関する契約がない場合、B社が100万元を支払うときに充当すべき債務を指定していれば、指定された債務に充当される。B社は、利率付の100万元の貸付金債権に充当したいと考えるだろう。

 

また、B社が支払うときに充当すべき債務を指定していなければ、A社がB社の支払いを受ける際に、充当すべき債務を指定することができますが、A社が利息なしの販売代金200万元の一部分を充当すると指定したとしても、B社が直ちに異議を述べたときは、法

定充当に従って充当されることになる。

 

前述の順序により検討すると、①弁済期は同一であり、②利率付の点で、貸付金100万元を弁済する方が債務者のB社にとって利益が多いと判断されるので、費用→利息→元本という債務弁済の法定優先順位に従って、法定充当の場合、貸付金利息の10万元と貸付金100万元のうち、90万元が充当されることになり、A社は、B社に対して、残り貸付金10万元及び販売代金200万元の金銭債権を有している。

 

では、同じく貸付金の100万元について担保が付いている場合、日本法はどうなるか。日本法では、中国法のように担保が付いていないものを先に充当するとの明文規定がなく、「すべての債務が弁済期にあるとき、又は弁済期にないときは、債務者のために弁済の利益が多いものに先に充当する。」としか定めていない。本件の場合、おそらく貸付金の100万元については弁済しないとこれからも利息が発生するので、貸付金の100万元を先に弁済したほうが債務者に利益が多く、先に充当されるだろう。ここでは日本法と中国法と違いが出てきた。

日本法はどちらに充当したほうが債務者に利益が多いかを比較しなければならないので、担保の種類[i]及び設定方法を具体的に分析していくと、いろいろな違いが出てくるだろう。

 

なお、当事務所には中国法の弁護士しか在籍していないので、上記日本法の具体事例に関する分析にはご参考にしていただき、具体的な案件があった場合は、必ず日本法の弁護士にご相談ください。


[i]中国の担保法第2条第2項では、担保の種類として「保証、抵当権、質権、留置権、手付」を挙げている。また、抵当権の場合、自分の不動産に抵当権を設定する場合と、他人の不動産に抵当権を設定する場合とある。

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