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貨物運送代理契約における船荷証券交付義務の条件

5分で分かる判例~

 

14回 貨物運送代理契約における船荷証券交付義務の条件

 

貨物運送代理人が貨物運送代理契約における船荷証券交付義務を負うか否かをどのように判断するか。

今回紹介する最高人民法院(最高裁)の再審判決は、次のような基準を示した。『最高人民法院の海上貨物運送代理紛争事件における若干の問題に関する規定』(以下、『貨物運送代理司法解釈』という)第8条、すなわち貨物運送代理人の船荷証券交付義務に関する規定を適用するには、実際の荷送人が貨物運送代理人に委託したことは必要であり、かつ、貨物運送代理企業は、契約荷送人と代理契約を締結したことにより、実際の荷送人との委託代理契約関係が当然成立するわけではない。

 

【事実関係】

20121024日、A社は、海外の買主X社と売買契約を締結し、FOB 寧波の条件でX社に冷蔵庫を輸出する。X社は、20121211日、国際物流サービス会社のB社に船積予約を委託した。A社は、X社の要求に従ってB社に運送貨物を交付し、また自ら国際貨物運送代理会社のY社に貨物の内陸運送及び輸出通関を委託した。輸出者も荷送人もA社である。Y社は、20121220日、海運運送人のZからコンテナを取り、A社のところで荷積してZ社に引き渡した。Z社は、20121224日、X社が荷送人として記載された船荷証券を作成した。B社は、Z社の作成した船荷証券を取得した後、X社に交付した。貨物が陸揚港に到着した後、X社に引き出された。A社は30508.5米ドルの代金を受け取ったが、残り140739.5米ドルの代金が支払われなかった。

A社は、B社がA社でなくX社に船荷証券を交付したことにより、A社が貨物への支配力を失って損失を受けたことを理由に、B社に代金の損失を賠償させるようと訴えた。

 

【判決】

一審裁判所は、次のような判決を下した。すなわち、本件において、X社はB社に船積予約を委託し、B社と海上貨物運送代理契約関係を成立した。X社は契約荷送人であるが、A社が実際の荷送人としてB社との間で別途海上貨物運送代理契約関係が成立することを妨げない。B社は運送代理人として、船荷証券の交付対象を明確にするためには、貨物の引渡者(内陸運送人)等、様々なルートを通して慎重に貨物の実際の荷送人を確認すべきである。よって、A社はB社に対し本件船荷証券の交付を要求する権利を有する。ところが、B社は、貨物が寧波港を離れた後、本件船荷証券をX社に交付したため、客観的にA社への船荷証券の交付が履行不能になった。B社の過失により直接にA社に貨物の所有権を失わせたため、B社はA社に代金の損失を賠償すべきである。また、本件では、B社が船積予約のみを代理することや、A社が自ら内陸運送及び通関を委託し、実際の荷送人であることを適時にB社に知らせず、その後も積極的にB社に主張しなかったことに鑑み、双方はA社の代金損失について折半負担とする。

A社、B社とも一審判決に不服とし、それぞれ上訴した。

二審裁判所は、次のような判決を下した。すなわち、『貨物運送代理司法解釈』の関連規定により、貨物運送代理企業はその受領した船荷証券を実際の荷送人に交付すべきである。実際の荷送人が貨物運送代理企業に対し船荷証券交付の請求を怠った場合、貨物運送代理企業は報告義務を履行しなければならず、適時に船荷証券の処理について実際の荷送人に尋ね、実際の荷送人から書面確認を得なければならない。よって、上訴請求を却下し、一審判決を維持した。

B社は二審判決に不服とし、最高裁に再審を申し立てた。

 最高裁は、一審及び二審の判決を取り消し、A社の訴訟請求を却下した。

 

【争点】

1.B社は、A社から委託を受けてZ社に貨物を交付し、A社との間で貨物運送代理契約関係が成立したか否か。

2.B社は、A社に対し賠償責任を負うべきか否か。

 

【判決意見】

1、本件貨物貿易契約に約定された価格条件はFOB 寧波である。A社は、貿易契約における売主であり、海上貨物運送契約における実際の荷送人でもある。X社は、貿易契約における買主であり、海上貨物運送契約における契約荷送人でもある。B社は、X社と貨物運送代理契約を締結し、X社の貨物運送代理人として船積予約をした。しかし、B社が本件運送の船積予約業務を行ったことだけで、実際の荷送人のA社との間で貨物運送代理契約も同時に成立すると認定すべきではない。A社は、B社との間で貨物運送代理契約関係が成立すると主張するためには、証拠を挙げて両者間で貨物運送代理契約書を締結しまたは実際に貨物運送代理業務をB社に委託したことを証明しなければならない。『貨物運送代理司法解釈』第3条では、「人民法院は、書面契約に約定される権利および義務の性質により、かつ貨物運送代理企業が報酬を取得する名義と方法、発行された領収書の種類と経費項目、当事者間の取引習慣その他契約履行の実際の状況を総合的に考慮し、海上貨物運送代理契約が成立するか否かを判断すべきである」と規定している。A社がB社に貨物運送代理業務を委託しまたはY社を通じてB社に再委託した証拠を提供しなかったため、AB間での貨物運送代理契約関係は成立しない。

2、『貨物運送代理司法解釈』第8条第1項では、「貨物運送代理企業が契約荷送人の委託を受けて船積予約業務を行うと同時に、実際の荷送人の委託を受けて運送人に貨物を引き渡す場合、実際の荷送人が貨物運送代理企業に対しその受領する船荷証券、海運書類もしくはその他の運送書類の交付を請求すれば、人民法院はそれを認めるべきである」と規定している。この条項は、貨物運送代理企業が契約荷送人からの委託を受けて船積予約を取るのみならず、実際の荷送人からの委託も受けて運送人に貨物を交付する場合に適用する。A社は本件運送の実際の荷送人であるが、本件運送において運送人に貨物を直接に引き渡すことをY社に委託した。既存の証拠によっては、A社が運送人への貨物の引渡しをB社に委託したことが証明できないため、本件は『貨物運送代理司法解釈』第8条第1款の適用条件を満たさない。したがって、B社が船荷証券を船積予約の委託人であるX社に交付することは妥当である。

 

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