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契約無効の判断基準及び契約解除の条件

5分で分かる判例~

 

10回 契約無効の判断基準及び契約解除の条件

 

行政規則の規定に違反する契約が無効と認定すべきか。技術契約に関わる製品の生産又はサービスの提供が然るべき行政機関の許認可を取得しない場合、当該技術契約の解除条件に合致するか。

今回、紹介する最高裁の再審判決では、次のような基準を示した。契約効力の認定においては、契約が法律、行政法規の強制規定に違反するか否かをその判断基準にすべきであり、契約が行政規則の規定に違反することで契約が無効と認定してはならない。技術契約の紛争事件では、技術契約に関わる製品の生産又はサービスの提供が然るべき行政機関の許認可を取得しない場合、当事者が締結した関連技術契約の効力に影響を及ぼさない。

 

【事実関係】

2004612日、再審申立人(一審原告、二審上訴人)の海南康力元薬業有限公司(《薬品経営許可証》及び《薬品経営品質管理規範認証証書》を持つ。以下、「康力元」という。)及び海南通用康力製薬有限公司(《薬品生産許可証》及び《薬品生産品質管理規範認証証書》(即ち「薬品GMP証書」)を持つ。以下、「康力製薬」という。)と、再審被申立人(一審被告、二審上訴人)の海口奇力製薬株式会社(以下、「奇力製薬」という。)とは、《X薬品譲渡契約》(以下、「譲渡契約」という。)を締結し、次のことを約束した。奇力製薬は、新薬証書及び生産許可書を取得した後、X薬品を康力元及び康力製薬に譲渡し、康力元及び康力製薬はそれを譲り受ける。X薬品の所有権は康力元及び康力製薬に帰し、奇力製薬はX薬品の全ての書類を提供する。X薬品の生産許可書に記載された生産者が奇力製薬のため、奇力製薬は、生産許可書の取得後、康力元及び康力製薬による委託加工の手続に積極的に協力し、許可された後に直ちにX薬品の生産を康力元及び康力製薬に移転し、かつ人員を派遣して、康力元及び康力製薬が3回連続で合格の製品を生産するまで、技術指導することを承諾する。譲渡価格は300万元であり、生産許可書の取得日から7日以内に80%を支払い、委託加工手続の完了日から7日以内に残額を完済する。等々

20061231日、海南薬品監督管理局は康力製薬に通知を出して、康力製薬の薬品GMP証書を撤回し、是正後、法定手続を踏まえて再審査を申請するよう要求した。

2007521日、奇力製薬は、X薬品の新薬証書及び薬品登録許可書を取得したが、康力元及び康力製薬にそのことを如実に知らせなかった。

200786日、奇力製薬は、「貴方に重大な変化が生じ、相当長い間では、薬品関連法令に規定する委託加工の基本条件を満たさないため、原契約の履行ができなくなった。《契約法》の関連規定に基づき、原契約を終了すべきである」ことを理由に、譲渡契約の終了に関わる通知を康力元及び康力製薬に出した。双方が協議により解決できなかったため、康力元及び康力製薬は200824日に、海口市中級人民法院(以下、「一審裁判所」という。)に提訴した。

一審裁判所は、次のような判決を下した。即ち、譲渡契約は三者の真実な意思表示であり、かつその内容が法律又は行政法規の禁止規定に違反しないため、有効な契約である。各契約当事者とも法により契約に定める義務を厳格に履行しなければならない。国の現行の法律又は行政法規は、薬品技術の譲受について特定の規定がない。たとえ行政規則が新薬技術の譲受側の資格について要求があるとしても、最高裁の《技術契約紛争事件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈》第8条の規定(即ち、製品の生産又はサービスの提供が然るべき行政機関の許認可を取得しない場合、当事者が締結した関連技術契約の効力に影響を及ぼさない)によれば、康力元及び康力製薬が契約により契約における権利を享受することには影響を及ぼさない。これらに基づき、譲渡契約の継続履行を命じ、かつ「奇力製薬が、康力元及び康力製薬の指定する薬品生産企業にX製品を引き渡して生産させると同時に、人員を派遣して、当該指定企業が3回連続で合格の製品を生産するまで、技術指導する」といった康力元及び康力製薬の主張を支持する。

奇力製薬、康力元及び康力製薬とも一審判決に不服とし、海南省高級人民法院(以下、「二審裁判所」という。)に上訴した。

二審裁判所は、次のような判決を下した。即ち、譲渡契約は《薬品管理法実施条例》の規定に違反したが、この法規は強制規定でない。《薬品登録管理弁法》(2007年施行)は、国家薬品監督管理局の部門規則に該当し、その規定に合致しなくても契約の効力に影響を及ぼさない。従って、譲渡契約は有効な契約のはずである。しかし、国家薬品監督管理局が康力製薬の薬品GMP証書を撤回した後、康力製薬は今に至るまで国家薬品監督管理局からX薬品の生産に関わる薬品GMP証書を取得することができず、X薬品の生産に関する法定資格条件を具備していない。よって、客観的な状況が変わったことにより、当該契約の目的を実現することができなくなったため、法により譲渡契約を解除すべきである。これらに基づき、一審判決を取り消し、譲渡契約を解除し、奇力製薬が康力元及び康力製薬に払い済みの代金及び然るべき利息並びに1800万元の補償金を支払うよう命じる。

康力元及び康力製薬は二審判決に不服とし、最高裁に再審を申し立てた。

 

【判決】

二審判決を取り消す。一審判決における「譲渡契約の継続履行」との部分を維持するが、「奇力製薬が、康力元及び康力製薬の指定する薬品生産企業にX製品を引き渡して生産させると同時に、人員を派遣して、当該指定企業が3回連続で合格の製品を生産するまで、技術指導する」との部分を是正し、譲渡契約の約定に基づいて変更する。

 

【争点】

1.       行政規則の規定に違反した譲渡契約が無効と認定すべきか。康力製薬の薬品GMP証書が海南薬品監督管理局により撤回されたことは、譲渡契約の効力に影響を及ぼすか。

2.       康力製薬の薬品GMP証書が海南薬品監督管理局により撤回された状況の下では、譲渡契約の継続履行が可能なのか。

 

【判決意見】

1.  譲渡契約は、新薬技術の譲渡と新薬の委託生産と、2つの内容に関わる。(1)新薬技術の譲渡については、《薬品管理法》及びその実施条例とも具体的な規定がない。これは、従来より、国家薬品監督管理局が行政規則及び規範性文書で規定する。本件では、当事者が譲渡契約を締結した時の薬品管理規定を見れば、法律にも行政法規にも新薬技術の譲渡に関わる強制規定がなかった。行政規則には新薬技術の譲渡について具体的な規定があったが、《契約法》第525号の規定によれば、双方当事者が譲渡契約に約定した新薬技術譲渡の内容が行政規則に違反することは、契約が法律、行政法規の強制規定に違反するために無効となる状況に該当しない。従って、新薬技術の譲渡に関わる双方当事者の約定は有効であり、双方とも法によりそれを履行すべきである。(2)薬品の生産委託については、《薬品管理法》第13条では、「薬品監督管理の関連部門の認可を得た後、薬品生産企業は薬品の生産委託を受託することができる」と規定している。《薬品管理法実施条例》第10条によれば、薬品の生産委託を受託する場合、受託側はその生産受託する薬品に相応の薬品GMP証書を持たなければならない。本件では、双方当事者が譲渡契約を締結した時、康力製薬は、X薬品に相応の《薬品生産許可証》及び薬品GMP証書を持っていた。そのため、康力製薬へのX薬品の生産委託に関わる双方当事者の約定は、法律及び行政法規の規定に違反せず、有効である。双方とも契約通りに履行すべきである。また、最高裁の《技術契約紛争事件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈》第81項の規定によれば、製品の生産又はサービスの提供が然るべき行政機関の許認可を取得しない場合、当事者が締結した関連技術契約の効力に影響を及ぼさない。従って、康力製薬がX薬品の生産に必要な《薬品生産許可証》及び薬品GMP証書を取得できるか否かは、譲渡契約の効力に影響を及ぼさない。

2.  譲渡契約の約定によれば、譲渡代金の20%、即ち60万元の支払は、生産委託の手続が完了することを条件とする。もし康力元又は康力製薬が生産委託の資格を具備しないために支払条件が満たされない場合、奇力製薬は協議又は他の方法により譲渡代金を請求し、その契約債権を実現することが可能である。康力元及び康力製薬が譲渡契約に約定する新薬を譲り受けることは行政認可を取れるか否か、又は譲り受けた後に生産できるか否かについては、政府の関連部門がそれを監督管理すべきである。その結果は、当然、康力元及び康力製薬が自ら負担し、奇力製薬による契約債権の実現とは無関係である。譲渡契約の内容が薬品行政認可規定に違反するために履行できないことを理由に契約の解除を要求する、奇力製薬の抗弁理由は成り立たない。なお、康力元及び康力製薬は、その指定する企業によるX薬品の生産及び販売に協力するよう奇力製薬に命じることを請求したが、当該請求内容が譲渡契約に約定されていないため、当該請求を支持した一審判決が当事者の意思自由原則に違反し、明らかに不適切であり、それを是正すべきである。

 

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