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意匠特許権の保護範囲の確定及び権利侵害の有無の判断

毎月最高裁が発行する「公報」には、指導性判例や典型判例等が掲載されています。

DLでは、その中の判例を毎月12件選んでご紹介致します。

 

 

5分で分かる判例~

 

8回 意匠特許権の保護範囲の確定及び権利侵害の有無の判断

 

 

近年、意匠特許の出願数は年々少しずつ増加する一方、他人の意匠特許権を侵害する案件も毎年相当の数で発生している。中国の特許法及びその実施細則では、意匠特許権の保護について原則的な規定しか置かれていない。司法実務上、如何に意匠特許権の保護範囲を確定し、権利侵害の有無を判断するのが焦点となっている。

今回、紹介する最高裁の再審裁定では、次のような基準を示した。即ち、意匠特許権の保護範囲を確定し、権利侵害の有無を判断する時、当該意匠の図面又は写真に表示される形、図案及び色彩といったデザイン要素に基づくべきである。意匠特許製品と同類又は類似の製品において、意匠特許と同じ又は似ている意匠を採用した場合、裁判所は、権利侵害製品が意匠特許権の保護範囲に入ったと認定すべきである。権利侵害製品が意匠特許と同じ又は似ている意匠を採用したこと以外に、他の図案又は色彩といったデザイン要素も付け加えた場合、これらの付加デザイン要素が余計なデザイン要素に該当すれば、通常、権利侵害の有無の判断に実質的な影響を及ばない。

上記の確定及び判断の基準は、意匠特許権保護の実務にとって大きな指導意義を持つ。

 

【事実関係】

再審申立人は、被申立人が生産、販売する本件権利侵害製品(はさみ)を本件意匠特許と比較すると、「両者の相違点はリベットの大きさと、本件権利侵害製品の刃に図案及び色彩があることのみ」と主張した。

再審申立人は、「はさみの刃にデザインしたカラーの図案は、通常、意匠の全体視覚効果により大きな影響を与える。一般消費者の知識水準及び認知能力に基づいて判断する場合、はさみの刃における権利侵害意匠と授権意匠の上記の差異は、すでに全体視覚効果の実質的差異に該当する。よって、両者は、同じでもなく、類似でもない」といった二審判決の認定に対し、事実認定に誤りがあり、法律適用が不当であると主張した。

 

【判決】

二審判決は「はさみの刃にデザインしたカラーの図案は、通常、意匠の全体視覚効果により大きな影響を与える」ことを理由に、両者の全体視覚効果に実質的差異があると認定したが、この判決に法律適用の誤りがあるため、是正すべきである。しかし、二審判決の結論(即ち、本件権利侵害製品と本件意匠特許とは、同じでもなく、類似でもないこと)が正しいため、それを維持し、再審申立人の再審請求を却下する。

 

争点】

1.リベットの大きさの相違は、本件権利侵害製品と本件意匠特許との全体視覚効果に明らかな差異をもたらし、これにより、両者が同じでもなく類似でもないと認定するのに十分であるか。

2.本件権利侵害製品の刃に印刷された図案及び色彩は、権利侵害の有無の判断に実質的な影響を及ぼすか。

 

【判決意見】

1.本件権利侵害製品のリベットは、はさみの両側に設置される二つの丸い形の凸面であり、その体積が明らかにより大きく、その中央線上波状のしま模様がある。本件意匠特許のリベットは、金属製のリベットであり、その体積が明らかにより小さく、かつ一側の中部のみに直線溝がある。両者のリベットの形も大きさも差異が明らかであり、かつ製品の中部に設置されるリベットが容易に一般消費者に観察されるため、両者の全体視覚効果に明らかな差異をもたらし、これにより、両者が同じでもなく類似でもないと認定するのに十分である。

2.意匠特許権の保護範囲を確定し、権利侵害の有無を判断する時、当該意匠の図面又は写真に表示される形、図案及び色彩といったデザイン要素に基づくべきである。意匠の簡単な説明には、色彩の保護を明確に記載していない場合、図面又は写真に表示される色彩をもって意匠特許権の保護範囲を限定すべきではなく、権利侵害の比較を行う時もこれを考慮しないことにすべきである。権利侵害製品が意匠特許と同じ又は類似の意匠を採用したこと以外に、他の図案又は色彩といったデザイン要素も付け加えた場合、これらの付加デザイン要素が余計なデザイン要素に該当すれば、通常、権利侵害の有無の判断に実質的な影響を及ばない。本件の場合、本件意匠特許は、色彩の保護を要求しておらず、はさみの刃にも図案のデザインもない。本件権利侵害製品の刃に印刷された図案及び色彩が余計なデザイン要素に該当するため、権利侵害の有無の判断に実質的な影響を与えない。

 

DLからの一言】

1.意匠特許侵害の有無を判断する場合、一般消費者の観察力を基準にすべきである。種類が同じ又は似ている製品については、一般消費者が通常の注意を払って混同しない場合は、権利侵害にならないが、一般消費者が通常の注意を払っても混同してしまう場合、権利侵害になる。本件最高裁裁定では、「一般消費者」について定義していないが、通常、ここの「一般消費者」は、中国消費者権益保護法における「消費者」と一致している。しかし、建築材料、機械部品及び電動道具等の非一般消費財の場合、一般消費者がこれらの製品に対して一般的な知識も認知能力も持っていないため、同様又は類似の比較を行うことができるのは、これらの製品の特定消費者(即ち、販売者、据付者及び使用者)である。

2.形、図案及び色彩は、意匠の三つの要素である。そのうち、形及び図案は基本であり、色彩は形及び図案に付着する。形及び図案から離脱した色彩は、単独で、中国特許法における意匠特許の保護対象にならない。これに鑑み、二つの製品の意匠を比較する場合、通常、形、図案、色彩といった順番で行うべきである。即ち、まず、形が同じ又は類似であるか否かを判断する。形が同じでもなく類似でもない場合、二つの意匠が同じ又は類似ではないと判断でき、図案及び色彩の比較を行う必要がなくなる。もし形が同じ又は類似の場合、その次に、図案が同じ又は類似であるかを判断する。図案が同じでもなく類似でもない場合、二つの意匠が同じ又は類似ではないと判断でき、色彩の比較を行う必要がなくなる。もし図案が同じ又は類似の場合、引き続き、色彩が同じ又は類似であるかを判断する。色彩が同じでもなく類似でもない場合、同じ又は類似の意匠にならないが、色彩が同じ又は類似の場合、同じ又は類似の意匠になる(但し、権利侵害製品が意匠特許と同じ又は類似の意匠を採用したこと以外に、他の図案又は色彩といったデザイン要素も付け加えた場合、これらの付加デザイン要素が余計なデザイン要素に該当すれば、通常、権利侵害の有無の判断に実質的な影響を及ばない)。この三つの要素の中、形は最も主要であり、権利侵害の有無を判断する時は形の比較を主とすべきである。なお、ある製品の形は特許権者が初めて作り、訴えられた権利侵害製品がこの形を使って図案及び色彩を付け加えた場合、一切権利侵害と判断すべきである。

 

注:本判例は201412月第218期公報により

 

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