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市場管理会社は、他人の知的財産権が侵害されないことにつき、注意義務を負わなければならない

毎月最高裁が発行する「公報」には、指導性判例や典型判例等が掲載されています。

DLでは、その中の判例を毎月12件選んでご紹介致します。

 

 

5分で分かる判例~

 

7回 市場管理会社は、他人の知的財産権が侵害されないことにつき、注意義務を負わなければならない

 

中国では模倣品を含め、多くの知的財産権を侵害する製品が各種商品小売市場、卸市場で販売されている。これらの市場を管理する会社(以下「管理会社」という)は、市場内に行われている他者の知的財産権について、責任を負うべきか。

今回、紹介する上海市黄浦区裁判所の一審判決では、管理会社は、実際の販売者ではないと認定した上、経営場所を提供する家主にとどまらず、物件管理、情報、物流及び金融等サービスを提供する総合サービス会社であり、市場を開設する先行行為に基づき、他人の知的財産権が侵害されないことにつき、注意義務を負わなければならない。管理会社が知的財産権侵害行為に関する民事責任を負うかどうかについて認定する際には、知的財産権の権利者保護と商品市場業界の発展及び、テナントの経営自由、この三者の有効的なバランスの維持を堅持した上で、個々の案件の事情に基づき総合的に裁量し、正確に管理会社の責任を判断しなければならない。

本判例が一審判決にもかかわらず、最高裁の公報に掲載されているということからも、最高裁も同様の意見であることが分かる。なお、本判例自体は、管理会社は注意義務に違反していないとの判断であるが、判旨で示された具体的な判断基準は、今後の知的財産権保護実務に多くのヒントを与えてくれている。

 

【事実関係】

原告は、被告A社が原告の授権又は許可を得ていないにもかかわらず、デジタルカレンダーに自分の撮影作品Pを使用しており、被告B社が経営・管理している市場内(別の小売業者が販売している)で販売されていることを発覚。

原告は、A社の行為だけではなく、B社も合理的な注意義務を果たさずに、権利侵害の商品を販売したので、同じく原告の著作権を侵害したと主張。

 

【判決】

1.   被告Aの権利侵害行為を認定した上で、侵害行為の即時停止、新聞での謝罪広告の掲示及び侵害賠償金の支払いを言い渡した。

2.   被告Bは販売者ではなく、管理者として認定し、その注意義務を認めつつも、本件では注意義務を果たしたとして、民事責任を負う必要がないと判断。

 

争点】

管理会社は市場内で実施された知的財産権権利侵害行為につき、責任を負うべきか。

 

【判決意見】

商品販売市場の管理会社は、本質的にはサービスを提供し、賃借料を取得することを目的のする経済組織である。管理会社と入居したテナントとは、単純な賃貸借契約関係ではない、場所、物件管理、情報、物流及び金融等サービスを提供する総合的サービス関係にある。権利侵害行為が市場で実施されることを以って、管理会社が販売者と推定してはならない。実際の販売者は、入居した実際の経営者である。管理会社が実際の経営者の代わりに、領収書を発行している行為は、その市場管理機能を果たす行為であり、実際の販売行為ではない。

但し、管理会社は、その先行行為である市場開設に基づき、他人の知的財産権が侵害されないことにつき、注意義務を負わなければならない。具体的には、管理会社は、市場参入時前の審査義務、日常管理上の巡査義務、及び権利侵害行為を知った後の救済義務である。

本件においては、管理会社であるB社は、実際の販売者と締結した店舗使用管理契約及び実際の販売者の営業許可書等を提供できたため、市場参入前の注意義務を果たした。

権利者が市場内に存在する権利侵害行為を発覚後、B社に連絡して権利侵害行為の阻止を要求しなかったこと、またB社がかかる権利侵害行為の存在を知ったことも証明できないため、B社は権利侵害行為を知った後の救済義務を負わない。

よって、本件の審査要点は、B社は日常管理上のの巡査義務を果たしたかである。裁判所としては、当該知的財産権の知名度、知的財産権の侵害方法及び侵害行為の継続時間、規模等要素を総合的に考慮しなければならない。

第一、       本件知的財産権の知名度に関しては、十分に有名であり、一般公衆が当該作品の由来について普遍的な認知ができていない。また、当該撮影作品は特殊な撮影技術を使用したとはいえ、一般大衆は当該作品は販売者が自分で撮影した作品を販売しているか、他人の作品を販売しているかを容易には判断できない。即ち、権利侵害行為は明らかとはいえない。B社にしても、専門的な撮影者ではなく、かつ市場内には10万点以上の商品があり、すべての商品を審査する能力がない。かかる商品を審査したとしても、作品の知名度がそれほど高くないため、かかる商品が権利を侵害したかどうかを判断する能力がない。

第二、       本件の権利侵害方法に関しては、当該撮影作品はデジタルカレンダーのバックグランドとして使っており、かつ当該作品だけを使ったわけではなく、ほかの撮影作品も使用している。管理会社に、デジタルカレンダーのあるページのバックグランドとして使われた写真が他人の知的財産権を侵害したことを発見させることは、明らかに管理会社にとっては高すぎる要求である。

第三、       侵害行為の継続時間、規模等情状に関しては、侵害行為が特別に長時間に継続し、侵害商品の販売規模が非常に大きい場合、管理会社は、日常の巡査時に当該権利侵害行為を発見する難易度が比較的に下がる。こういった場合において、管理会社は侵害行為を発見しなかったならば、注意義務に違反したと認定できる。本件においては、原告は侵害行為の継続時、販売規模等について立証しなかった。

上記を総合的に考えると、管理会社は、その先行行為である市場開設に基づき、他人の知的財産権が侵害されないことにつき、注意義務を負わなければならないが、本件に関してB社はかかる注意義務に違反していないため、相応の民事責任を負わない。

 

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