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工商登記事項がは事実状況と合わない場合、その法的効力をどう認定するか?

毎月最高裁が発行する「公報」には、指導性判例や典型判例等が掲載されています。

DLでは、その中の判例を毎月12件選んでご紹介致します。

 

5分で分かる判例~

第4回 工商登記事項が事実と合わない場合、その法的効力をどう認定するか?

 

工商登記は、商事登記であり、会社(パートナーシップ企業、個人独資企業又はその他組織形式、以下は、「会社」という)の法人格を創設、変更及び終止するために、法定内容とプロセスに従い、当事者が登記機関に対し登記事項を申請し、登記機関による審査、承認を経たうえ、登記事項を登記簿に記載する行政行為である。工商登記を実施する主たる目的の一つは、市場経済秩序の安定及び取引の安全を維持することである。会社が登記機関に登記した事項に変更が発生した場合、会社が当該変更事項の変更登記を行い、且つ公告しなければならない。登記しなければ、善意の第三者に対抗することができない。

しかしながら、実務上に会社が工商登記の要求通りに登記義務を履行しないことにより工商登記事項と事実状態と合わない状況は存在している。大拇指環保科技集団(福建)有限公司と中華環保科技集団有限公司との株主出資紛争案の裁定で、最高裁判所は、「法定代表者(日本の代表取締役に相当)の変更登記は、社会に会社の意思代表権の基本状態を公示するためである。法定代表者の登記は対外的に公示の効力を有する。会社以外の第三者との会社代表権に起因する外部争議の場合、工商登記に準ずるべきである。しかし、会社と株主との間の法定代表者の任命?解任に起因する内部争議の場合、有効的な株主総会の任免?解任決議に準ずるべきであり、かつ会社内部において法定代表者変更の法的効果が生じる。」との判断を下した。

 

【背景】

大拇指環保科技集団(福建)有限公司(以下は、「大拇指」という)は、シンガポールに登録した中華環保科技集団有限公司(以下は、「シンガポール本社」という)により中国に設立される外商独資企業であり、2000630日に営業許可書を取得し、登録資本金は人民元1.3億元である。大拇指は、登録資本金が人民元3.8億元まで増資し、増資部分は201083日までに分割で払い込むことが批准されたにも関わらず、期限通りに払い込んでいない。

シンガポール本社は2001年にシンガポールに設立された有限株式上場会社である。201064日、シンガポール高等裁判所は同社の申請を受け、同社が司法管理手続きに入るとの裁定を下した。

2012330日、シンガポール本社の司法管理人は書面決議及び任免状を発行し、何昱均を大拇指の董事長及び法定代表者の職務から免じ、保国武を大拇指の董事長及び法定代表者として委任し、Seshadri Ra- iagopalan、余明縁、何昱均の三人を大拇指の董事の職務から免じ、保国武、徐麗雯、宋寛の三人を大拇指の董事として委任し、任期はすべて3年である。しかし、大拇指の実際の支配者は公印の引継ぎを拒み、大拇指の董事会は株主の決議を執行せずに、且つ、20121218日に大拇指の法定代表者を洪臻に変更登記したため、工商登記の法定代表者と株主の任命した法定代表者が不一致な状況となっていた。

2012427日、大拇指は福州市中級人民裁判所(以下は、「福州中級裁判所」という)に起訴し、シンガポール本社が株主としての出資義務を履行し、増資金人民元4500万元を納付することを要求した。シンガポール本社は、唯一の株主として既に大拇指の法定代表者、董事を含む管理層を変更し、新しく委任した大拇指の法定代表者は法廷に対し訴訟を取り下げる意思表示を示したことを主張した。本件は、福建省高裁の二審を経て、最高裁まで争った。

別件として、2012516日、シンガポール本社は大拇指と田垣、陳斌及び潘成土との紛争を福州中級裁判所に対し起訴し、シンガポール本社による大拇指の董事、監事、法定代表者を任免する決議が合法、有効であることを確認する訴訟請求を提出した。福州中級裁判所は、2013917日に、シンガポール本社が2012330日に発行した「書面決議」及び「任免状」が有効であることを確認し、大拇指は判決の発効日より10日以内に法定代表者、董事長、董事の変更及び届出手続を行い、大拇指の法定代表者、董事長を保国武に、董事を保国武、徐麗雯、宋寛の三人に変更しなければならないという一審判決を下した。

 

【判決】

1、二審の裁判所が審理後、シンガポール本社が判決の発効日より10日以内に大拇指に出資金4500万元を支払わなければならないという判決を下した。

2、最高裁判所が審理後、二審判決を取り消し、大拇指の起訴を却下すると裁定した。

 

【争点】

1大拇指が本件訴訟を提出する意思表示が真実であるかどうか、即ち、工商登記の法定代表者と株主の委任した法定代表者と、誰が大拇指の意思を代表できるか?
2
、シンガポール本社が出資義務を履行すべきか?

 

【判決意見】二審裁判所及び最高裁判所による争点に対する意見

 

二審裁判所

最高裁判所

大拇指が本件訴訟を提出する意思表示の真実性について

中国法律を適用する前提の下に、工商登記の情報は公示公信の効力を有する。大拇指の法定代表者を認定する際に、工商登記に準じるべきであり、保国武が大拇指の法定代表者として登記されることを証明する証拠がない場合、彼が大拇指を代表して訴訟を取り下げる意思表示は法定効力がなく、認めない。

法律が法定代表者を変更事項として登記しなければならないと定めた意義は、社会に対し会社の意思代表権の基本状態を公示することである。工商登記の法定代表者は、対外的に公示効力を備え、会社以外の第三者が会社の代表権による外部争議が発生した場合、工商登記に準じるべきであり、会社と株主との間に法定代表者の任免による内部争議が発生した場合、有効的な株主任免決議に準じ、且つ、会社の内部に法定代表者変更の法的効果を生じる。従って、シンガポール本社は大拇指の唯一の株主として、その大拇指の法定代表者を任免する決議は、大拇指に対して拘束力を有する。

本件を起訴する時点において、シンガポール本社はすでに大拇指の法定代表者を変更しており、かつ新たに任命した大拇指の法定代表者は本件起訴を明確に反対していた。従って、本件起訴は大拇指の真実な意思とは言えず、却下すべきである。

 

シンガポール本社の出資義務の履行の必要性について

シンガポール本社はシンガポール法人であり、中国国内において外商独資企業の大拇指を設立し、株主としての大拇指に対する出資は中国の法律を適用すべきである。シンガポール本社が株主として出資を払込む法定義務を自ら履行しないとともに、関連部門に対して減資申請を提出し、大拇指の法人財産権を侵害したため、大拇指はシンガポール本社に対し出資義務の履行、出資の補足を要求する権利を有する。

二審判決を取り消す。大拇指の起訴は却下されるべきなので、シンガポール本社が出資義務を履行するかどうかについて、別途審理する必要がない。

 

 

 

 

 

注:本案件は20148月第214期公報により

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